先日は久しぶりに山の中へ入りフィールドワークをしました。
スダジイやマテバシイなどの常緑広葉樹林内にモウソウチクが侵出している場所で、至るところでイノシシによるタケノコの掘り返しが確認できました。
イノシシによって食害にあっているにも関わらず、常緑広葉樹林内はモウソウチクの割合が多くなっていて、いかに竹の侵出スピードが早いかが分かります。
このまま侵出が進むと近いうちにモウソウチク林になりそうですが、竹の侵出を食い止める意味合いでもイノシシが食べる行為は必要なのかもしれません。
周辺を歩くと木の幹にべったりとイノシシが身体をこすりつけた痕がありました。イノシシは泥場に身体すりつけてダニなどの外部寄生虫から身を守る行為(ヌタ打ち言います)を行います。そのため、基本的に身体に泥が付いているのですが、その泥が身体を木にこすりつけた際に付着するため、幹に泥が付くことになります。写真の木を見ると根元には水が染み出していて、身体をこすりつけるのと同時に根元の水も探し出したと推測できました。
フィールドワークでは、上記の食べた痕や身体をこすりつけた痕などの痕跡(フィールドサイン)を元にして、どのような動物がどれくらい利用しているかが分かります。今ではそこに今時期のイノシシが何を食べているか(胃の中身)、どれくらい栄養状態か(脂の乗り)も解体をして分かっているため、ここでこれだけタケノコが食べられているということは栄養状態も良い個体が利用していることが推測できたり、仮説を立てられる引き出しが増えています。解体とフィールドワークはセットで行うことで、さらにイノシシに対しての理解が深まりそうです。
春のフィールドワーク